2025/08/05 14:01

こんにちは!

Jwatchman髙橋です。


面白い個体が入荷しましたのでご紹介致します。


1941年製造の

ユニバーサルジュネーブ。

スモールセコンドの

ドレスモデルです。

ユニバーサルといえば、

複雑機構の一つであるクロノグラフや

小型の巻き上げローターを採用した薄型自動巻き機構

”マイクローター”の開発で時計業界に革新をもたらしたメーカーです。


ご紹介の個体は、一見普通の端正な

ドレスウォッチですが、バックグラウンドが大変面白い一本となっております。


それを示すのが文字盤に

刻まれたA.cairelli(カイレリ)のロゴ。

カイレリは1932年創業。

イタリア・ローマ拠点を置く時計の卸業者です。

イタリア軍向けに時計を手配していたことで知られています。


イタリア軍の潜水時計として

開発されたパネライ・ラジオミールは、

この会社が開発に関わっていたと言われています。

1941年のイタリアといえば、

戦争の真っただ中。

そのような時代に誕生した

カイレリのWネームのドレスウォッチは

一般向けに作られることは当然なく、

当時の所有者が軍関係者であったことを示唆。

カイレリの腕時計は、

基本的には50〜60年代に

極少数存在しており、

殆どが、軍用潜水時計や

爆撃機搭乗員用の時計なっています。

そのため、純然たるドレスウォッチで銘が刻まれているのは

極めて珍しい例といえます。

文字盤と外装は赤みを含んだ色味

ヴィンテージウォッチの世界では、

Pink on Pink と呼ばれる伝説的な配色。

パテックを筆頭とする40年代の

ドレスモデルで若干数

確認できる色使いです。

ピンクゴールドは、

イエロー系と比べ、発色が穏やかで、

装いに合わせやすいカラーです。

有色人種を多く抱えていた国々

販売された個体が多かったものと考えています。


外装径は34.5mm。

現代の基準でいくとかなり小径。

加えて薄型に仕上げられているため、

手元への収まりは良好です。

大戦を生き抜いて、我々にその顔を見せてくれたのは奇跡に近いなあと思います。
OH、外装修理後のお渡し。

安心してお使いいただくため、納期に2ヶ月程お時間を頂戴しております。

衝撃や水気にはご注意の上ご使用ください。